月日は百代の過客にして、行き交う年もまた旅人なり
『おくのほそ道』
【意味】
昇っては沈む月と太陽は留まる事のない永遠の旅人であり、来ては去る時間もまた旅人である。
【注釈】
・百代…きわめて長い年月、永遠
・過客…旅人
【解説】
好きなことに熱中していると、時間はあっという間に過ぎていく。次の電車をぼんやり待っていると、時間はなかなか過ぎない。
もちろん時間はいつも同じ様に過ぎていく。昨日も今日も、私にとってもあなたにとっても、「一分」という時間の長さは変わらない。どんな場合でも「一分」は同じ様にやって来て、去って行く。何かに熱中したり、慌てたり、待たされたり、私達の気分で早く感じたり、遅く感じたりしているだけだ。
私達は迷いの中に生きている。だから物事のありのままを受け入れられず、喜びや悲しみ、満足や不満を過剰に感じてしまうことがある。良い事にも悪い事にも心を乱されることなく、真実を捉えて迷いを抜け出さなければならない。
楽しい時もつまらない時も、穏やかな気持ちで時間という旅人を迎え入れて、送り出したい。時間の流れを正しく感じることができるようになることも、真実を捉えることの一つだ。それができるようになれば、その先に悟りがある。焦ることはない。心を落ち着けて、真実を一つ一つ捉えていこう。