今月のことば  令和6年 4月

福音もし信じがたくんば善きにすぎて信じがたきなり

-内村鑑三-

 

 

【意味】

 福音を信じられないのは、その内容があまりにも素晴らしいからである。

 

 

【注釈】

・内村鑑三(一八六一~一九三〇)…キリスト教伝道者。教団や聖職者を不要とする「無教会主義」を掲げ、日本古来の思想の上に真のキリスト教信仰を根付かせることを目指した。

・福音(ふくいん)…よい知らせ、朗報。キリスト教では、イエスの言葉と行動によって示された救いの教えを指す。 

 

 

【解説】

 「うまい話には裏がある」「安物買いの銭失い」「ただより高いものはない」など、自分にとって都合の良すぎる話は警戒するべきだと戒める言葉は多くある。この世の中には自分の得しか考えない人、その為に人をだまそうとする人が多くいるということだ。寂しい話だが、日々のニュースで見聞きする事件がそれを物語っている。

 

 阿弥陀様は西方極楽浄土という世界を築いた。そこに行けば誰もが仏となれる。浄土へ行くためには念仏を唱えるだけでいい。念仏は誰でもできる易しい方法である。だから私達は誰もが必ず仏となれる。

 

私達にとってとても都合のいい話である。大切なのは、私達に何を伝えるためにそんな都合のいい話が生まれたかである。

 

 仏様は慈悲の心で私達に接してくれる。私達は弱い存在である。そんな私達をより良い方へ導きたいという思いが自然とあふれてくる。それが慈悲である。そこに損得はない。