今月のことば  令和6年11月

人、()く道を(ひろ)。道、人を弘むるに(あら)ず。

『論語』

 

 

【意味】

 人間が実行することによって、正しい教えが世の中に広まる。教えがひとりでに世の中に広まることはない。

 

 

【解説】

 仏教であれ儒教であれ、どれほど学んで経典の内容を覚えたとしても、それを知識として心の内に留めたままではその教えが人に伝わることはない。実行して世の中に広め、皆がそれを実践してより良い生き方をすることで、教えは本当に価値あるものとなる。

 

 お釈迦様は三十五歳で悟りを開いてから、八十歳で亡くなるまで教えを説き続けた。お釈迦様が悟りを自分だけのものとせず、迷える人達を救うために伝えたから、その教えが受け継がれて仏教となった。

 

 浄土宗に往相(おうそう)と還相(げんそう)という教えがある。往相とは阿弥陀様の導きによって西方極楽浄土に往生すること、還相とは浄土から現世に戻って人々を浄土に導くことである。私達は浄土で阿弥陀様の教えを受けて悟りを開く。その後は阿弥陀様から教わったことを伝えるためにこの世界へ戻ってくる。

 

 

 仏様は教えによって私達を導いてくれる。教えを実践し、仏様と同じように世の中に教えを広めていくことで、教えはより深く自分の中に根付いていく。それが悟りを開いて仏となることに繋がっていく。