君子は豹変す
『易経』
【意味】
立派な人は、心の底から自分を変えることができる。
【解説】
豹変とは、豹の毛が季節によって抜け替わり、体のまだら模様が鮮やかになることである。そこから人の態度が一変することのたとえにも用いる。現在では態度や意見が節操なく突然変わるという悪い意味で使われるが、本来は良い方に変わるという意味である。
ある人が突然これまでと全く違う言動を取ったら、周りの人は困惑するだろう。本人にとっては必然だとしても、それがすぐに理解してもらえるとは限らない。長い目で見れば周りにとっても有益だとしても、その時には何らかの迷惑を被る場合もあるだろう。だから豹変という言葉がいい意味から悪い意味に変わったのかもしれない。
大切なのは自分が今までと違う言動を取る理由を、他の人に正しく伝えることである。それができれば、本来の意味で豹変したと言えるだろう。
悟りを開いたお釈迦様はかつての修行仲間に教えを説いたが、始めは聞き入れてもらえなかった。一人で苦行をやめたお釈迦様は修行から逃げた者として軽蔑されており、その時説いた内容も難解だったからだ。それでも教えを説き続けたことで、苦行をやめたことも自分の悟りのことも受け入れてもらえた。これを「初転法輪」という。初転法輪において教えを理解してもらうことによって、お釈迦様は人々を導く仏となったのだ。
自分自身の心の変化を正しく理解し、他の人にも理解してもらう。それが悟りを開いて仏となることである。