今月のことば  令和4年 6月

過ちて改めざる 是を過ちと謂う

『論語』

 

【意味】

 過ちをしたのに改めない。これが本当の過ちである。

 

【解説】

 一件の重大な事故の背後には二十九件の小さな事故がある。さらにその背後では、三百件の事故に至らなかったささいな異常が起きている。これをハインリッヒの法則という。

 

小さな過ちは、その時は何の問題にもならないこともある。しかし、何の対策もせず放置すれば、積み重なっていつか大きな過ちを引き起こす。だから小さな過ちを軽視せず、改善することが大切なのだ。

 

 仏教に「十二因縁」という教えがある。私達は真理を体得していない「無明(むみょう)」という状態にある。その為に正しい判断が出来ず、日常生活において過ちを犯す。一つの過ちが次の過ちを引き起こす。それが十二の段階を経て、現在の私達の迷いや苦しみとなっている。だから仏様の導きによって無明を解決し、過った行動を一つ一つ改めることで迷いや苦しみは無くなる。これが十二因縁である。

 

 今の自分の行動は必ず未来に繋がる。過ちをそのままにすれば次の過ちが生まれ、改めれば良い方向に進む。日々の小さな過ちを正し続けることによって、悟りを開き仏となることができる。それが、仏教の目指す「より良い生き方」である。