今月のことば  令和4年 1月

人必ず自ら(あなど)て (しか)(のち)に人(これ)を侮る

『孟子』

 

【意味】

 自分自身を軽んじる人は、他人からも軽んじられる。

 

【解説】

 日本では自分の実績や能力を自慢することなく、そうした部分を見せずに謙虚であることの方が美徳とされる。確かに自分を良く見せよう、大きく見せようとすることは好ましくない。しかし、それを恐れるあまり、必要以上に自分を卑下することもいいことではない。どちらも他人からの印象を気にするあまり、今の自分の本当の姿を見失っているということだ。

 

 人付き合いや世渡りの中で、自分を大きく見せたり小さく見せたりすることが有効であると思うのかもしれない。しかし、本当の自分の姿は何気ない行動の中に現れてしまう。それはいつか必ず気付かれるものである。

 

 仏様が教えを説く姿は、ライオンが()えるように力強く、堂々としているという。それは皆に教えを聴いてもらう為にあえてそう振る舞っているのではない。仏様はありのままの姿が力強く堂々としているのだ。だから私達は仏様に全てを委ねることが出来る。

 

 他人のことを気にして本当の自分の姿を隠そうとするのではなく、ありのままの自分がにじみ出るような生き方をしていこう。それこそが私達が目指すべき理想の生き方、仏となるための生き方である。