釈迦仏の本土は実に娑婆世界なり
-日蓮上人-
【意味】
お釈迦様のいる浄土とは、まさにこの人間世界である。
【注釈】
・本土…仏の世界。浄土。
・娑婆世界…苦しみに満ちた世界。人間のいる世界。
【解説】
悟りを開いて仏となることが仏教の目的であり、その為にはどうすればよいのかを教えてくれるのが仏様である。仏様はこの世界で私達を導いてくれる存在なのだが、いつしか仏様は浄土という別世界にいる存在と考えられるようになった。仏様のありがたさを示すためであるが、それによって仏教が仏様を拝むだけの宗教と見なされてしまうこともあった。大切なのは、仏様は私達に何を説くのか、それを受けて私達はどう生きるかである。
阿弥陀様は全ての人が仏となれるよう西方極楽浄土を造り、全ての人を浄土へと導くことを誓って仏となった。阿弥陀様がいること、浄土があることによって、私達はこの世界で安心して生きて死んでいくことができる。その安心を持つことにより、私達は苦しみから離れて悟りへと近づくことができる。その喜びを表すために唱えるのが、南無阿弥陀仏という念仏である。
阿弥陀様による浄土往生が約束されていることによって生まれる心の安らぎ、それを喜んで念仏を唱えることが浄土宗の教えである念仏第一の生き方、私達にとってよりよい生き方である。