今月のことば  平成28年 8月

極楽も 地獄も先は 有明の

    月の心に かかる雲なし    

‐上杉謙信‐

 

【意味】

死後に行くのが極楽でも地獄でも、夜明けに輝く月のように、私の心に曇りはない。

 

【注釈】

・有明の月…陰暦十六日以後、夜が明けかけても、空に残っている月。

 

【解説】

上杉謙信の辞世の句である(他に漢詩の辞世もある)。心の底からこの歌のような境地に達することが、悟りを開き仏となることである。

死は誰にも確実にやってくることがわかりながら、死後の事は誰にもわからない。お釈迦様も死後はわからないとおっしゃっている。「わからない」ということを受け入れたことが、お釈迦様の悟りである。

悟りを開いたならば、死後に何があろうと恐れることはなくなる。死後のことがわからずとも迷いなく生きられる。

しかしその境地に達することはなかなかできない。多くの人は不安を抱き、迷いながら生きている。そんな人の行く先として、阿弥陀様は西方極楽浄土を築いた。迷いから抜け出せない人を浄土へと導くために、阿弥陀様がいらっしゃるのだ。

だから私達はこの世界で安心して生きて死んでいける。道に迷ったとしても、阿弥陀様は必ず私達を導きに来て下さる。そう信じて阿弥陀様に全てを委ねて念仏を唱えて欲しい。