なんでもないことは流行に従う
‐小津安二郎‐
【解説】
お寺や僧侶の世界では昔からの伝統が変わらずに守られているというイメージがあるかもしれない。しかし、寺院や仏像の形式は時代によって変化している。僧侶がお勤めの時に着る法衣やお経の節回しなども同様である。これらは仏教の実践や布教の過程で派生的に生まれたものである。その大元である教えは変わることはなくとも、それをどう実現して広めていくかは様々な状況下で変わっていくだろう。
伝統文化と言われる世界の中にも、流行り廃りや時代の流れによる変化はある。守るべきことは守り、そうでないことはその時の都合で変わればいい。闇雲に決められたことを守るのも、安易に流行に従うのも、自分自身の考えが欠落しているという点では同じだ。大切なのは何を守るべきかを自分で考えることである。
お釈迦様の時代から二千五百年以上が過ぎ、仏教は様々な形で世の中に広まった。日々のお勤めのやり方などに違いはあるが、お釈迦様の悟った真理を体得して仏となることを目指すという根本は変わらない。守るべきこととそうでないことを考えて、なんでもないことは流行に従う柔軟さを持つ。それができれば悟りに近づくことができるだろう。