大道に門無し
『無門関』
【意味】
仏道に入る為に開かなければならない門はない。
【注釈】
・無門関…中国の禅僧である無門慧開(一一八三~一二六〇)が編集した公案集。
【解説】
仏教には様々な宗派があり経典がある。どれが正しいとか優れているということはない。全てが仏となるための教えである。どの教えであっても、悟りへと辿り着いて仏となれる。まずはここから始めなければならないという決まりはない。それが大道に門無しということである。
見方を変えれば、ここから入ればいいというわかりやすい入口がないとも言える。門があるなら、どれほど固く閉ざされていても何とかこじ開けて入れるかもしれない。しかし、どこからでもいいと言われると、かえって入り方に戸惑うことだろう。
仏道への入口は探すものではない。何かの拍子に目の前に現れるものである。法然上人は自ら進んで仏道に入ったのではない。戦死した父親の遺言に従い、幼くして親類の僧侶に弟子入りした。そのきっかけがなければ僧侶にはならず、浄土宗を開くことはなかったかもしれない。
あなたが本当に仏教を必要とする時が来たら、仏様があなたにふさわしい教えを示してくれる。それこそが仏道への入口である。